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Archive for the ‘電子書籍’ Category

金沢文庫と星空文庫の出会い

30 9月

 

先日の続きですが『金沢文庫』『星空文庫』連携企画について
 
この連携企画、私も少しお手伝いさせていただきました。八月に音声合成技術の開発元エーアイのセミナーに参加しておりまして、『金沢文庫』の開発者の富岡さんのセミナーを受講していまして、そこで富岡さんが、今は青空文庫の作品しか読めるコンテンツがないが、今後はもっとコンテンツを増やしていきたいとおっしゃっていまして、ぱっとあるアイデアが思い浮かんだわけです。もしかしたらこのアイデアに興味を持ってもらえるのではないかとすぐに連絡を取りまして、星空文庫サイトというものがあることをお伝えしました。すると上手いことお二人が意気投合しまして、なんとそれから一ヶ月半というあっという間の間に、実現しちゃったという、そんな経緯がありました。言うなれば、たにぐちがキューピット役を務めさせていただいたということになるんでしょうか(笑)。あ、当然開発に僕は関わっておりませんのでご安心ください。
 
そんなことがありまして、自画自賛になってしまいますけど、このアプリすごく可能性があるってことを申し上げたいと思います。音声で読み上げるという未来の電子書籍機能が、プロの作品よりも、アマチュアの作品の方で実現しちゃったわけでありまして、時代を先取りしちゃったんじゃないかなと思っております。もちろん金沢文庫アプリというものがなければ実現しなかったとも言えるんですけどね。私、個人的には編集者やプロの作家の方にも、このアプリと星空文庫サイトを利用していただきたいと思っています。なにせ星空文庫はとくにアマチュア作家専用を謳っているわけでもありませんし、弊社の作品『神様がくれた背番号』も置かせていただいていまして、今回の販促でも、試し読み用に設置した星空文庫サイトに誘導効果はかなりあったと考えています。
 
ちなみに、どういう場面で一番力を発揮するかというと、高齢者の方への利用が一番に考えられると思います、それから教育現場での利用でしょうか。また視覚障害者にもこの音声合成技術は、欠かせないものとなっています。そして今回金沢文庫は星空文庫と組んだことで、作り手側に大きな変化をもたらしました。どのように読んでもらうか、作り手自身が考えられるようになったのは大きいと思います。その人の工夫次第でいろいろな使い方が考えられるんじゃないかなと思っています。
 
とりあえずそんな感じでしょうか。
ではでは失礼します。
 

野球と映画の出版イベントと金沢文庫アプリの紹介

29 9月

えーまず『神様がくれた背番号』矢野さん効果もあって(詳しくは前回の記事をご参照ください)、『神様がくれた背番号』の売れ行きが好調です。作品の評判も上々のようで言うことがないです。一過性のことだとは分かっているつもりですけど、これは偶然ではなく、作品の実力なんだと僕は思っています。この作品には人の心を捕らえて放さない何かがやはりあるのだなと改めて思い知らされました。信じてきて良かったです。
 ただ正直なところ、やっぱり何が起こるか分からないなあというのも本音です(笑)。弱気なことは言ってはいけないのですが、僕の実力不足もあって、販促がうまくいかず売れ行きが止まっていた時期もあり、焦りや諦めも多少はありました。と言っても矢野さんのことがなくても、もっと多くの人に読んでもらえるように販促活動・計画は遂行していましたし、『神様がくれた背番号』のことを忘れたことは一日たりともありません。一冊一冊の重みを噛みしめています。
自分に出来る範囲のことを、しっかりとやっていくことを念頭に、これからも売り続けていこうと思っています。
 
それで今は、書店営業を再開しようと準備をしているところでして、この流れを切らさないように太くできるようにしていきたいと思っています。改めまして、矢野さんには心から感謝申し上げます。
 
 
 
ということで、いくつかご報告があります。
 
 
10/16に私がお世話になっているアニカさんから出た『映画が私を変えた』河添まみこ著の出版記念イベントとして、月島にある相生の里、あいおい文庫(東京都中央区佃3-1-15)にて「映画と、本と、生き方と」という映画本関連のカルチャーイベントを催されるそうです。小人症をもち映画『追悼のざわめき』に出演された著者の河添まみこさんを中心に「映画と本は、人をつなぐ」をコンセプトに、トークセッションをされるということですのでもし興味のある方はお越しください。アニカの佃さんもいらっしゃるので、出版について興味がある方はのぞいてみると良いかも知れませんね。
 
 
 
二つ目は、少し先になりますが10/30にこちらも同じく相生の里・あいおい文庫にて『東京野球ブックフェア』が開催されます。楓出版も『神様がくれた背番号』を携えて出店させていただきますので興味のある方はご参加いただければと思っております。どういう風にこのフェアを盛り上げていこうか、計画中でして今からすごく楽しみです。
 
 
 
 
三つめは、先日のことですがiPhone,iPadで利用可能の読み上げソフト『金沢文庫』アプリで『星空文庫』が利用可能になりましたことをご報告させていただきます。
 
 
※↑をクリックするとiTunesストアに移動します。
 
ちょっと分かりにくいかと思いますので説明しますと、
『金沢文庫』はiPhoneやiPadで利用できるアプリでして、『青空文庫』の作品を音声で読み上げでくれる電子書籍ビューワーアプリです。
『星空文庫』は『作家でごはん!』と同じ方が運営されていまして、私がお世話になっている方が運営されているサイトなのですが、無料で利用可能なアマチュア作家向けの作品投稿サイト&電子書籍サイトです。ちなみに『神様がくれた背番号(前半部分)』を置かせていただいております。
 
今回の連携企画でその『金沢文庫』で『星空文庫』の作品を読み上げることが可能になりました。たぶん読み上げ対応している電子書籍は今のところ、朗読少女やオーディオブックと限られたものになりまして、かつこれは実際の声優さんが読み上げるタイプのもので、クオリティが高いのですが、その分読み上げて聞くにはコストが掛かることが難点だったのですが、この金沢文庫アプリはプログラムで読み上げることが可能ですので、コストの面で実は大きなメリットがあり、今後大きく発展していく分野の先鞭となるアプリという位置づけだったりします。つまりものすごく業界から注目を浴びているアプリなんです。もちろん機械だからといってロボットのような不自然な音声ではなく、人間の声に近いのできっと体感された方は驚かれるんじゃないかなと思っています。何より今までの『金沢文庫』アプリでは、青空文庫の作品しか読めなかったのですが、星空文庫も対応したことによって、読めるものが一気に拡大しました。たくさんのコンテンツを利用可能になったと言うことで、金沢文庫、星空文庫ともに大きく発展していくと思います。通常は1000円なんですが、この連携企画を記念しまして、700円のセール中です。無料のLITE版もあるので、iPhone、iPadユーザーの方は是非お試しいただければと思います。
 
でおそらくプレスリリースの方を読まれた方の中には、文中にコーディネーター楓出版とあるのをあれ?と思われた方がいらっしゃるかと思います。なんで楓出版が関係あるんだろうと。その話についてはちょっといろいろとありまして、まあ長くなりますので、後日お話しさせていただこうかなと思います。
 
ではでは失礼します(笑)
 
 

9月16日放送の『矢野どん』で「神様がくれた背番号」が紹介されました。

24 9月

 

9月16日に放映されたABCラジオ『矢野燿大のど~んと来い!』で神様が紹介されたところを書き起こしてみました。
 

トークの様子はU-steamでも視聴できます。(1時間20分あたりから、神様がくれた背番号の紹介が始まります)

 
 
〈ラジオトーク抜粋〉
矢野燿大氏、岩本計介アナ、角野友紀アナ出演。
  ◆ ◇ ◆ ◇
岩本アナ(以下、岩)「ここからは、これめっちゃええわのコーナーです。矢野さんがそのとき気に入っている物や、スタッフのおすすめのグッズを紹介するコーナーです」
角野アナ(以下、角)「今回のテーマは秋ということで、読書の秋にぴったりのご本をご紹介します」
岩「矢野さん、読書家なんですよね~」
矢野(以下、矢)「いやでもね、最近読めてなかったんですけどね。今回紹介する本に影響されて、読むようになりました」
岩本「お、ちょっとその本紹介してもらいましょうか」
角「え、まず一冊目は、神様がくれた背番号です。こちら松浦儀実さんという方が書いていらっしゃるんですけれども、ストーリーがですね、阪神ファンなら、必見のストーリーなんです。こちら物語の始まりは大阪市にある天王寺公園。世界で一番野球の上手い四〇歳にしてくださいと神様にお願いしたのは、話すことが苦手なことからホームレスになってしまった男なんです。この方が主人公なんですけれども、この主人公の方が、四〇歳の誕生日に神様から世界一の野球の才能を授かって、タイガースの選手になるというお話なんですね。スポーツとは何か、友情とは何かを考えさせられる感動作なんですけれども、なによりも、たっくさんのタイガースの選手が登場するんですよね!」
矢「そうですね。実名でね」
岩「実名ですか?」
角「矢野さんも!(登場するんです)」
岩「矢野さんもですか~?」
矢「まあこれね、僕ブログでも紹介してたし、結構、皆さん知ってくれていると思うんですけど、本当に内容がね。僕らも知らないような裏方さんだったり、球団の中の方だったり、ペットの名前だったり」
岩「それ当たっているんですか?」
矢「(当たっている)と思うんです」
岩「へえ、すご~い!」
矢「そして、あの~、岡田監督の台詞もね」
  角野アナ、突然思い出し笑い。
矢「全部『そらそうよ』なんですよ」
  一同爆笑。
矢「そこめちゃくちゃウケて。最後はあの、それとは違うメッセージというか、台詞もあるんですけど、それまでは、ずっと『そらそうよ』みたいな感じで(どうやらこの台詞がかなりお気に入りの様子)。読んでてね、本当に感動するし」
角「そうなんですよ(大きく頷く)」
岩「笑わせる本ではないんですか?」
矢「全然笑わせない!」
岩「全然笑わせない?(あれ、さっきと発言が矛盾してません?)」
角「もちろん、面白いところもあるんですけど」
矢「面白さと、感動と・・・、最後、涙するくらいほんと感動するし」
岩「へえ~、ほ~(信じられないといった様子)」
角「私、これ清水次郎アナウンサーにお借りしたんですけど、名古屋に帰る新幹線の中で読んで、周りの人がこっちをガン見するくらい号泣しちゃって、しゃっくりするくらい」
岩「しゃっくりするくらい?」
角「フーヒフーヒ(しゃっくりする振りをする)になるくらい。そんな感動する場面もありつつ、面白いところもあるんですよね」
矢「タイガースの中身のことも知れるものにもなるし。まあでも、あのね、けっこうね、このラジオ聞いてくださっている方は、それ知ってるよ、っていう方多いと思うんですよ」
岩「そうですか。あ~僕、読めてないんです、実は」
矢「あんま興味ないですもんね、人に(笑)」
  ここで岩本アナをイジり始める矢野さん。
岩「いやいやいや(焦)」
矢「自分ばっかり」
角「自分が好きなんですもんね?」
矢「俺が俺が……、認めたやろ?」
岩「(もう駄目だと諦めるように)多少そんなところあります。(それから逃げるように話題を変えて)
『神様がくれた背番号』っていう題名がいいですよね」
角「いいんですよ~」
矢「めちゃめちゃいいね~」
岩「そうですか~、是非とも僕も読んでみます」
角「読んでみてください♪」
  ◆ ◇ ◆ ◇ 
 〈ラジオトーク抜粋終わり〉
 
 
書き起こしてみると、見えなかったことがだいぶ見えてくるような気がしますね。
はっきり分かることは、矢野さんがこの本をすっごく気に入ってくださっているのだということです。
ラジオなんで、気さくに言っていますけど、よく見ると、すごい心を込めて褒めているのが分かります。
 
なんと言っていいか分かりにくいですが、この小説には、きっと心を動かす何かがあるんだろうなということが分かります。でも、それが何なのか言葉にしようとするとすごく難しいんです。岩本アナウンサーが右往左往している様が、それを伝えていますよね。どんな小説にも似ていないし、どんな小説よりも説明しにくい小説。それが『神様がくれた背番号』なんだろうなと、改めて思いました。
 
でまあ、そこが松浦さんのもっとも凄いところなんだと思うんですけど、普段意識していなかった何でもないような物事が、松浦さんの言葉を通してみると、まるで違ってみえる、もう本当にそんな感じなんです。テーマとか感動とかそういうものでは、表現できないし、言い尽くせないものがこの物語に込められているような気がするんです。本当に、ただ感動としか言えないのが歯がゆいというか、そこが悔しいんですが。読めば分かるし、でも読んでも何が良いのか言葉で伝えづらいというジレンマなんですけど、ただ、読めば、確実に何かが心に残る、そんな作品なんじゃないかなと思います。
 
ラジオでも言ってくださっていましたけど、矢野さまには昨年の年末にもブログで紹介してくださって、これが二度目の紹介でした。本当にありがたく思っています。(ささやかですけど、番組宛に礼状を送らせていただきました)
 
どんな作品か興味がある方は、前半部分をこちらで試し読みできますので、お立ち寄りください。
 
 
 
※矢野さまのご紹介をうけて、『神様がくれた背番号』の売れ行きが伸び、Amazon等オンライン書店で現在在庫切れの表示になっております。しかし随時書店への納品を行っておりますのでご安心ください。遅くとも1週間前後でお客様の手元に届くのではないかと思います。お手数ですが、在庫切れでも諦めず、そのまま注文をクリックしていただけると幸いです。また書店での注文も可能となっております。お手数ですが、お近くの書店で、『神様がくれた背番号』の書名かISDNコードを書店の方にお伝えくださいますようお願い申し上げます。こちらも1週間前後でお渡し出来ます。
 
 
 

「猫吉親方 またの名 長靴をはいた猫」の朗読音源を作成しました。

19 8月

 

二つ目の朗読音源を作成しました。「猫吉親方」です。長靴をはいた猫の方が有名でしょうか。
なお底本に青空文庫のテキストデータを使用しました。
 
再生ボタンを押して寝っ転がって聞くと、リラックスできるのでお奨めですよ!
 
 

 

 
 
 

シリーズ1 僕と音声合成技術の出会い

13 8月

 

 
今日からしばらく音声合成技術についての記事をシリーズ形式に書いていこうと思います。
 

 

 

 

 

 

 
上の動画は僕の知人である各務留美さんの『僕は食虫植物』という作品の朗読音源である。
 
この映像が出来るまで、ちょっとした経緯があるので順を追って説明していこうと思う。先日ガジェット通信を閲覧していたら、とある記事に目がとまった。
 
 
そのとき僕は「へえ、Youtubeから収益が出る仕組みがあるんだ」と思わず声を出して呟いていた。実は、そういう収益を上げる仕組みがYoutubeにあるとは知らなくて、興味津々で読み込んでしまったわけです。へえ、ステディイカムかあ、そういや映画学校の学生の頃、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」を観て、庭を動き回るカメラのその映像美に感動して、自作してみようとしたことはあったなあ。なんてこと思い出して、値段を見てみると、どうも買えない金額でもないし(昔は何百万もしたような気がする)やってみようかな、なんて思ったのだけど、出版屋がそんなのやってどうするんだ!といちおう思い直したわけだけど、しばらくこのことが気になって頭が離れなかった。ちなみにカメラを揺らさなくするには、今は手振れ補正みたいなものが普通についているんだろうけど、僕が学生時代ビデオカメラで自主製作の映画を撮っていたときはそんな機能はなくて、写生で使う画板に、カメラをセットして端で持って、同じような効果を出していたような気がする。ちなみにウエイトレスがトレイで水を運んでもこぼれないのと同じ原理。もともと人間にはそういう機能が備わっているのだ。
 
でその記事を見て、飯を食ってしばらくしてふと気づいた。もしかしたら朗読を収録すれば出版に結びつくんじゃないかなって。これならYoutubeで公開できる。すぐ自分にもできるかどうか可能か調べてみた。すぐに問題に行き当たる。声優さんに頼むと結構高いのだ。ネットで調べてみると、スタジオ代や声優に払う料金の他に、監督のディレクション代なんかあったりして、しかも朗読ってけっこう面倒じゃないですか? 声優さんは一人だけかもしれないけど、1時間かそこらで収録が終わるとは思えない。となるとやっぱり何十万の単位になる。原稿用紙五十枚くらいの作品だと収録にいくらぐらいかかるんだろう? そんなことを考えてちょっと自分には現実的ではないなと諦めかけた。まあアイデアが思い浮かんでも、やっぱり無理だったというのはよくあることなので、気にすることはない。僕は背もたれに体重をかけて、ちょっとため息をつこうとして、その時、ふと頭をかすめるものがあった。あ、そういや、自動読み上げソフトというものがあったな。ちょっとした思いつきだった。またキーボードをはじいて検索してみる。ただそのときは正直あまり期待はしていなかった。自分が知っていたのはロボットみたいな音質で、とてもナレーションに使えるレベルではないと思っていたからだ。でもとりあえず調べてみようってことでネットで検索してみてYoutubeで観てみると、驚いた。衝撃と言ってもいいかもしれない。本当に人が喋っているように見えた。
 
 
 
 
 
ちなみにこれVOICEROIDって言うらしい。まあこんな風に実際に喋ってくれるんなら文句はないだろうなと思った。声優要らずで朗読音源を作れるわけだから。で早速この「VOICEROID+民安ともえ」というものを購入してみた。いちおう「一太郎」という文書作成ソフトにも「詠太」という同じような自動読み上げソフトがついているんだけど(こちらは男性の声で結構クオリティが高い)、どうも録音保存機能がないみたいなので候補から外すことにした。
 
再生ボタンを押したからといってすぐにちゃんとした朗読になるわけじゃなかった。思い通りの音声にするには読み間違いを直したり、イントネーションなどを調整する必要があった。使い始めてみて、最初は操作に慣れるまで手間取ったけれど、なんとなくコツも分かってきて一つ朗読を作り終える頃には、実際の声優さんが喋っているように聞こえるようになった。そのままでもまあ聞こえないことはないけど、誤読やイントネーションでリズムが合わずなんとなく聞きづらいのである。
 
で音声の方がうまく出来ると、やっぱり動画も作ってみたくなる。ちなみに動画編集ソフトなんてものはなかった。気がつけば僕はネットで「Videostudio」という動画編集ソフトを見つけて購入ボタンを押していた。これを使えば動画を作成してYoutubeにアップロード、パートナーシップで広告収入に一歩近づくんだと思った。映画学校を卒業していたので、映像についていくらか勉強したことはあるんだけども、でも編集作業なんてまったくやってこなかったから、うまく出来るかどうか不安だった。けど、こっちもけっこう実用レベルだった。初心者の僕でもそれなりに使える。もっと本気でやれば、プロに負けないクオリティになりそうな予感もしたが今はこれくらいでよしておこう。で、作ってみたのが冒頭のYoutube動画である。
 
出来に関しては皆さんに判断をお任せします。ただ僕は十分実用化レベルだと思っている。こんなに簡単に朗読音源が出来てしまうのも嬉しい。もちろん実用化していくには、どんな作品を用意するのかという問題や、また映像素材を一から集めなくてはいけないとか、けっこう大変なのは想像できるけど、何とでもなりそうな気がした。あと制作時間だ。これを仕上げるまでどれくらい時間が掛かったのだろう。トータルで15時間ぐらいだろうか。いや20時間ぐらい掛かったかもしれない。もっとか? 結構な作業時間だ。この作業をを続けていくのは大変そうだと思った。まあ長篇はどう考えても無理だろう。作ったとしても、一つの作品を読み終えるのに10時間もかかりそうな朗読音源なんて、誰も必要としていないに違いない。
 
でもまあここまでやってみて、映像の表現性ってやっぱ凄いんだなと思った。20世紀頭にシネマが登場して、あっという間に世界を席巻していったのは、うん、伊達じゃなかった。世間じゃテレビ離れと言われていても、その人たちが液晶表示のPCを捨てたという話は聞かない。いたるところで人々は映像に触れていて、そしてその映像は世の中を映し続けているのだ。そしてYoutubeなら日本語を理解さえしていればどんな人にも届けることができる。再生ボタンを一つ押せば作品を読んでくれる。そう思うと僕はなんだか子供のようにわくわくした。これは面白いかも。もしかしたら、もしかするかもしれない。そう思った。
 
今回、僕は、僕のお気に入りのアマチュア作家である各務留美さんという方の作品を許可を得て使わせてもらった。彼女はちょっと変な話をたくさん書かれる方なのですが、どうやら彼女も気に入ってくれたみたいで、この作品以外にも朗読音源化をさせていただけることになった。そうか長篇が無理なら短編作品や童話でいいじゃないかと思った。とりあえず朗読音源を作ってみよう。そしてYoutubeのパートナーシップに申請し続けてみよう。どこまで出来るか分からないけれど、こんな面白いことはないと思った。
 
そうこんな風にして僕と音声合成技術の出会いが始まったのである。(つづく)
 
 
 
補足1
Youtubeにアップロードすると、自動的に広告収入が得られるわけじゃない。そのYoutubeで広告収入を得る方法のことをパートナーシッププログラムといって、申請して審査をクリアする必要がある。著作権に違反していないオリジナル映像であること、ある程度公開数があることなどの条件があるらしい。欧米ではすでに一般的であるらしく年間1千万以上の収益を上げている人も少なくないという、2007年に日本でも始まっていて、私が観たガジェット通信の記事の永川優樹さんもそのプログラムに入っていて、そこから収益を上げているのだそうだ。
 
 
 
この記事はシリーズでお送りする予定です。ご意見、感想などありましたら、コメント欄ではなくinfo@kaedebooks.comまでご連絡ください。シリーズ最後に皆様のご意見を、一つ一つ発表させていただければと思います。