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電子書籍によって変化すること

17 2月

AndroidやiPhoneの登場により日本人の読書スタイルは今後変わってくると思います。スマートフォンで本を読むことに慣れてしまうと戻って来れなくなると思うんですよね。情報の整理、読みやすさ、携帯性、保管性において紙の本は電子書籍にどう足掻いても勝てないです。そして紙の書籍が電子書籍に上回るのは、物である物を所有する気持ち、美術センスの高さ、交換性、そして現時点では人間の認識度の高さ、そして販路だと思います。本を読んだことがない人はいないですし、売り買いするための書店が全国に散らばっています。

 

また電子書籍によって情報の送り手も変化します。出版するための敷居が低くなったことです。出版業界の慣習を考えることなく本を出版することが出来る。取次のことも書店のことも考える必要がない。私のように出版社を立ち上げて電子書籍を作る会社は今後増えるのではないかと予測しています。

 

敷居が低くなるということは次に予測されるのはコンテンツの質の低下です。日本語の乱れや内容の薄さなどが紙の業界でも言われていますが、それよりもさらに上回る速度で質の低下が加速するように思われます。現時点でも無料で公開したり、頒布できる電子書籍サイトの多くで、このような現象が起きています。

 

どうすれば歯止めを掛けることができるのか? いえそうではなく、どうすれば質の向上にベクトルの向きを変えることが出来るのか、それをこれから私たちは考えなくてはいけないのではないでしょうか。質の高い作品であれば必ずファンが付きます。この著作で何を伝えたいのか、どれだけ心を揺さ振ったか、それがこれまで以上に問われることになるはずです。また電子書籍によって妥当が報酬を実現することが出来れば(あるいはそれを目標としてモチベーションを維持することが出来れば)、制作者側もプライドを持つことが出来、さらに質の高い作品作りに励むことが出来ます。そのためには文学性の復興といいますか、電子書籍時代に移り変わるからこそ、ルネッサンス的な視点を持つ必要があるんじゃないかと思っています。子供の玩具のように読んで終わりではなく、ずっとスマートフォンにいれて、持ち歩きたいと思わせるような作品であれば、その人の他の作品も読んでみたいと思うはずなわけで。今まではプロモーションや装幀や帯や販路で勝負できたものが、作品のみでしか勝負できなくなる、そんな状況が今後生まれるんじゃないかと思っています。私は電子書籍は好期であると捉えています。IT業界も長い時代を経てようやくコンテンツ主義に移り変わる、そんな予感が胎動のように聞こえてくるのです。

 

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